お知らせ
令和3年度の工事事故等発生状況
作成日:2022年7月1日
公益財団法人横浜市建築保全公社では、日頃より工事事故の発生防止を目指し、各種研修会・安全パトロールなどを実施しております。
令和3年度の工事等で、物損その他のトラブル事案が48件発生しました。そのうち、安全管理措置が不適切であった29件を「事故」として注意喚起等の措置を適用しました。
※公社では、トラブル事案について事故審査委員会の審議を経て、安全管理措置の不適切性を判定し、注意の喚起・警告・契約不適格者認定の適用を決定しています。
事故を防ぐには
施工前の調査の段階から、様々な危険を想定したうえで十分に調査を実施し、施工計画を立てることが非常に重要です。特に昨年度多かった火災報知器の誤発報や防水工事による雨漏り等は、想定可能な場合であれば、事前調査を基に施工計画を立て、施設管理者との事前打合せにて対応方法を取り決めておくことで、未然に防ぐことが可能です。
安全設備を整えることはもちろん、工事に携わる者一人一人が自分に加えて他人の安全を守る高い意識を持たなければなりません。
経験の浅い作業員の方は、十分な経験を持った指導者の監督・指導のもとで作業を行ってください。
さらに
事故によっては施設機能を一時的に停止させてしまい、施設管理者や施設利用者に多大なご迷惑をお掛けすることになります。
事故を起こさない対策はもちろんですが、万が一発生してしまうかもしれない事故を想定して即時復旧対応が出来る体制を整えておくようにしてください。
保全公社では、事故防止に向け事故情報の発信、研修会の開催などを行ってまいります。
施工者の皆様におかれましても、安全対策を含めた施工計画を現場の状況に合わせて作成し、作業に携わるすべての関係者に安全作業の徹底をお願いいたします。
◆ 令和3年度の工事事故等 29件 (安全管理措置が不適切と認定された案件)
No. |
発生日 |
発生場所 |
事 故 概 要 |
1 |
6月8日 |
地区センター |
カバー工法による屋根改修において、新設材のビス打部の止水が不完全のため雨漏りが発生し、直下体育館の木製床材に変形が生じた。 |
2 |
7月1日 |
中学校 |
既存金属屋根を撤去し仮防水を実施していたが、屋根下地モルタルのクラックより雨漏りが発生し、窓枠・カーテン・机等の内装を汚損した。 |
3 |
7月19日 |
小学校 |
既設トイレ内照明器具の撤去中、配線を共有する他エリアの防火シャッターの電源を切断し警報盤より発報。当日は発報に気付かず放置状態となり、後日ブザーに気付いた管理者の操作により防火シャッターが閉塞した。 |
4 |
7月24日 |
小学校 |
既存CB間仕切り壁内の火災報知機用配線を解体時に誤って切断してしまい警報盤より発報。 |
5 |
7月27日 |
小学校 |
ペントハウスの出口扉(アルミ製ガラス戸)を開放状態で配管材料を運搬していたところ、台風時の強風で扉が激しく閉鎖し、衝撃で出口扉の網入りガラスがひび割れた。 |
6 |
7月29日 |
小学校 |
ユニッククレーンの作業中に、アームを架空電線(放送設備)に引っ掛けて切断した。 |
7 |
7月30日 |
小学校 |
多目的トイレ解体作業中、緊急呼出しブザーの配線処置を誤り警報盤より発報。多目的トイレでの異常を知らせるブザーであり、施設管理者が警報を停止した。 |
8 |
7月31日 |
中学校 |
資材運搬用車両(フォークリフト)にて足場資材を運搬中、1階ピロティに設置の冷水器に接触し、外側カバーを凹ませた。 |
9 |
8月3日 |
小学校 |
工事用車両(4t車)の車輪が汚水桝マンホール蓋に乗ったため、蓋にヒビが入った。 |
10 |
8月6日 |
小学校 |
養生シートのロールを持って運搬中、振り向いて後方の確認をしようとしたとき、ロールが教室の突き出しサインに接触して破損した。 |
11 |
8月10日 |
小学校 |
3階の100V回路(コンセント・誘導灯)に200V電源を誤接続し通電したため、コンセント接続中の機器の一部及び誘導灯を破損した。 |
12 |
8月11日 |
高等学校 |
工事用電源として施設のコンセントを借用していたところ、過負荷のため施設の分電盤ブレーカーが落ちた。 |
13 |
8月27日 |
小学校 |
PS内において撤去済の配管を抱え上げて搬出する際に、誤って上部熱感知器に接触・破損し、警報盤より発報。 |
14 |
9月14日 |
中学校 |
工事用車両(乗用車)を施設内の駐車場に駐車するためバックしていたところ、雨水竪樋に接触し破損した。 |
15 |
9月25日 |
小学校 |
バルコニーの手摺壁天端にアンカーピンニング工法を施工中、アンカーピン挿入時に手摺壁天端に置いたグリスポンプが外側の足場と躯体の隙間に落下し、下階給食室ホールの窓ガラスを破損した。 |
16 |
10月6日 |
福祉施設 |
PS内2階スラブのコア抜き作業前にあて木を設置しようとしたところ、そのあて木を熱感知器にぶつけてしまい熱感知器が損傷して発報した。 |
17 |
10月9日 |
小学校 |
屋外の土間コンクリートを斫り作業中、斫り機のピックが埋設消火用配管に刺さり破損した。 |
18 |
10月23日 |
福祉施設 |
歩道を通行止めとし、車道への迂回スロープにて誘導中の高齢者が、対向の歩行者を避けようとしたところ、スロープ中央の突起箇所に躓き転倒した。 |
19 |
11月9日 |
卸売市場 |
撤去する揚水管を切断しようとしたが、誤って使用中の給水管を切断してしまった。切断部上流の止水ができなかったため高架水槽1杯分の水が流出し、施設運営に支障が生じた。 |
20 |
11月10日 |
ポンプ場 |
一人で足場の1段目の枠材をジャッキベースに乗せ、手を離してブレースを取り付けようとしたところ、枠が倒れて消火器ボックスを破損した。 |
21 |
12月23日 |
小学校 |
強風で足場が揺れ、ブラケットを取り付けた部分近傍のスレート波板の外壁が破損した。 |
22 |
1月9日 |
保育園 |
既存竪樋撤去作業中に樋を切断していたところ、樋の裏に沿わせてあった光通信配線を切断した。 |
23 |
1月11日 |
銀行 |
走行部分の養生を怠ったことにより、高所作業車を乗せた搬入トラックが石張りの化粧側溝蓋の上を走行し、側溝蓋約40枚を破損した。 |
24 |
1月24日 |
総合庁舎 |
撤去した空調機(室内機)用吊りボルトをロビーのロッカー上部に置き忘れ、施設の職員がロッカーの開閉を行った際にボルトが落下し右腕に接触した。 |
25 |
2月10日 |
水再生センター |
降雨時に養生シートの切れ目等から侵入した雨水が、階段室屋上スラブと新設谷樋の隙間から侵入し、2階及び1階の踊り場に漏水した。 |
26 |
2月28日 |
病院 |
材料搬入のため施設の地下駐車場に入ろうとしたところ、工事車両の荷台に乗せた電線管が駐車場入口のバーに接触しバーを破損した。 |
27 |
3月6日 |
小学校 |
資材搬入中、レッカー車の車輪がマンホールの蓋に乗り、これを破損した。 |
28 |
3月9日 |
水再生センター |
ドレン配管のコア抜き作業中に埋設配管配線を損傷し、周辺の電灯・コンセントが停電した。コア抜き時のレントゲン検査は実施していなかった。 |
29 |
3月11日 |
中学校 |
工事車両入場中に左前方の擁壁を見落としてしまい、車両と接触して破損した。 |
◆ 工事事故以外のトラブル事案 19件
No. |
発生日 |
発生場所 |
事 故 概 要 |
1 |
5月1日 |
中学校 |
工事車両用の駐車場で、三角コーンを設置してトラックを駐車していたところ、下を向いて歩いてきた生徒がトラックに頭部をぶつけた。 |
2 |
5月6日 |
中学校 |
既存防水層撤去後に仮防水施工を施したが、仮防水期間が長かったため、仮防水材にクラックが発生し、降雨時の雨漏りで直下の天井を汚損した。 |
3 |
7月2日 |
中学校 |
倉庫内で配管溶接作業中に、発報防止用の養生を施した熱感知器が配管溶接の熱により発報。 |
4 |
7月19日 |
小学校 |
建具塗装作業中に下階で授業中の児童1人から体調不良の訴えがあり、施設管理者からの要請で工事を中断した。 |
5 |
7月26日 |
中学校 |
体育館ステージ上でローリングタワーを移動中、かすみ幕に接触し幕の一部が切り裂けた。 |
6 |
7月26日 |
小学校 |
階段室のサッシを撤去作業中、隣接する機械室の煙感知器が反応し警報盤より発報。機械室は施錠されており、発報防止用の養生は施していなかった。 |
7 |
7月28日 |
小学校 ※1) |
折板屋根下部の単管サポート設置作業中に、単管パイプを押さえる作業員の手が滑り、単管パイプが倒れてシャッターボックスを破損した。 |
8 |
8月8日 |
小学校 |
体育館照明器具交換作業後の清掃中、吊り幕の埃を掃おうと幕に触れたところ破損した。 |
9 |
8月9日 |
小学校 |
屋根改修工事中の雨漏りにより廊下の天井を汚損した。 |
10 |
8月21日 |
小学校 |
体育館ステージの足場解体中、吊り幕にわずかに触れて幕の一部が裂けた。その後自重により幕が脱落した。 |
11 |
8月28日 |
小学校 |
足場組立中の作業員が気分が悪くなり涼しい場所で休憩させていたが、嘔吐したため病院へ救急搬送した。 |
12 |
9月11日 |
小学校 |
屋上配線取出し金物の撤去中に高架水槽電極用配線を切断し、高架水槽の満水警報が発報した。応急処置を実施したが発報が止まらず再調査したところ、誤った配線接続を施していた。(図面上は空配管の表記であった。) |
13 |
9月15日 |
小学校 |
材料搬入の運転手が搬入作業後に階段踊り場にうずくまっていたため、救急搬送された。 |
14 |
10月1日 |
福祉施設 ※1) |
バルコニーに敷いた養生シートがルーフドレンを塞いでしまい、台風時に上部に雨水が溜まりEVホールへ越水。EVシャフトを伝って下階EVホールにも一部漏水した。 |
15 |
12月14日 |
総合庁舎 |
発注図どおりの仮設電源盤を設けていたが、過負荷となりブレーカが作動した。また施設内の一部が停電し、サーバーのシャットダウンも発生した。 |
16 |
1月17日 |
保育園 |
塗装作業のためマグネットセンサ廻りのシリコンシーリングの撤去作業を実施していたところ、シーリング内に隠れていたセンサー用の配線を切断した。 |
17 |
1月19日 |
小学校 |
校長室内の給水管用コア抜き作業中に、作業台の上で作業員が態勢を変えたところ、肩が壁掛け時計に接触し落下して破損した。 |
18 |
1月29日 |
病院 |
保温カバーの板金加工中、細かい部分の加工のため切創防止手袋からゴム手袋に変えて作業していたところ、工具を持っていた手が滑り小指が板金の角に接触して負傷した。 |
19 |
3月2日 |
中学校 |
プールサイド床にシート固定用ビスを打ち込んだところ、プール清掃用立水栓に接続する埋設給水管を損傷した。(図面や資料からは、その位置に給水管が存在することが分からなかった。) |
※1) 通常は事故として取り扱う事案ですが、同じ事故審査委員会の審議において、同一工事で発生した他方の事案で措置が決定したため、特例的に措置対象とならなかった事案です。